更新
情報

お知らせ暮らしの保健室

さて、何も考えずにつらつらと書いてみよう。

突然どうしたのか。今年の流れをタロットカードで占ってもらったら、3月4月は発信するタイミングであると某Mさん。ほほう。何を発信しようかしら。眼の前では開高健のエッセイが積読タワーの上でいつ読んでくれるのと様子を伺っている。というわけで開高健にあやかり、釣りのお話にしよう。

被災して以降、生活のペースが色々と変わってしまい一日休みがなくなった。これは午前の仕事内容がスーパーマーケットの品出しから工場勤務へと変わったことによるもので、はじめから分かっていたことである。疲れるといえば疲れるが、まあどうにかなるだろうと一年ほどを過ごしてきたが、体力よりも気持ちの面で辛くなってきた。新たな場所に越してきてずっと作業なり仕事なりを続けており、なにも娯楽らしいもの、気分転換になるものがなかったのだ。このままではいかん、なにかしないと暴れてしまいそうだと始めたのが釣りである。よりによって12月に。

これまで好んで行ってきた釣りはルアーフィッシングといって疑似餌を使った釣りだったが、せっかく始めるならと以前から興味のあった餌釣り、ウキフカセ釣りを始めた。このウキフカセ釣りとはウキで当たりを取る釣りだが、ただプカプカ浮いているウキを眺めるだけではなく、自身で撒いた餌に針をつけた餌を同調させるという基本的な動作を必要としている。同調とは撒き餌のなかに刺し餌を違和感なく馴染ませ、自然に喰わすという技術のことで、この釣りのキモになる。この同調だが、潮の流れや狙う魚のタナを考えながら刺し餌を送らないとうまく馴染ませることができず、釣果にとても影響が出てしまう。この同調がウキフカセ釣りの魅力である。作家井伏鱒二は鮎釣りの師匠から「竿を持ったら山川草木であれ」と教わったらしい。山川草木とは自然界においてごく自然にあるもののことを指す。自然に溶け込み、自身も草木のように佇むことができたらそれは一人前の釣り師であるとのことだろう。

自然といえば僕がめっぽう影響を受けている老子もこんなことを言っている。無為自然。水のように生きるとは、なんと魅力的で自然な在り方か。

自然に生きるとは確かに難しいが、自然を意識するだけで取り払える違和感は多くありそうだ。法隆寺専属の宮大工、西岡常一は「木は生育の方位のまま使え」と言ったそうである。ここに人が生きていく上で大切なものすべてが詰まっているように思われる。



カテゴリーリスト


痴的好キ心 カテゴリーリスト



古本なるやのオススメ

古本なるやの店主のページ