倉庫音楽
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コントラバスというあの図体の大きな箱を抱え始めて、早や十一ヶ月が過ぎた。一日に一時間ほど弦を弾いたりしているが、遅々として進まぬ。もっぱら音階を昇り降りするばかりで、指先が硬くなるのと日が暮れるのと、どちらが早いか競っているような有様である。
さて誰を模範にすべきかと思案するが、名人の音を聴けば聴くほど自分の出す音が何やら得体の知れぬ、寝ぼけた牛の唸り声のように聞こえてきて、いよいよ拠り所を失うのである。とりあえずFやB♭ブルースは応用は効かぬがもらった譜面で音は拾った。
三月の陽気に当てられ、我ながら世話のない足踏みを続けている。
