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晴れ時々某月某日

読書を始めて数ヶ月、面白さのわからない作品があったと先日。

いわゆる純文学、近代小説家芥川龍之介の作品「トロッコ」をどう楽しんでいいのやらとのことだった。僕だとこの作品を大人に憧れる主人公の心境や、成長してからの自身の在り方みたいなものを想像することで楽しんでいる。まずこの作品の場合はおよその方がそうであろう。純文学とは心の変化や動きを味わう文章芸術であり、素晴らしい作品であれば事あるごとに心が動かされ、喜びや悲しみに浸ることができる。はず。

文学や音楽、また絵画や踊りなんかの表現作品とは心が動かされ何かを感じるところから末永いお付き合いが始まるのだが、さてその作品はどうやって僕たちの心を動かすのか。それは対比による差異に僕たちの心が反応するのだ。

「トロッコ」には大人と子供という対比や現在と過去という対比があり、もっと読み込めばまた別の対比も見つかるだろう。他の芸術分野でもよい作品であればストーリーやモチーフ設定、また時間軸と様々な対比から差異を感じ、心を動かしてくれる。僕はこの対比に気づいてから読書が面白く感じられ、読み方も変わった。そしてこの対比をうまく自身に作用させ、相手の美意識に訴えかけ心を奪うことがいわゆるギャップ萌えである。ゴホン。

実はこのギャップ萌え、ではなく対比を相談や交流分析に活かすことができるのではないかと思っている。哀しみ、怒り、怯えなどの心が動かされたところから何かの対比を想像する事で新しい背景が見えてこないかと考えた。ものは試し、まずは日常生活に落とし込んでやってみることとしよう。

今の自分を上手く利用し、少しでも皆さんと楽しく過ごせるよう模索する日々。見た目は不真面目そのものだが、素晴らしい傾聴を持ってきてまずはわがまま一直線のミミ店長を萌えさせてみようと思う。ゴホン。


はじめての文学講義――読む・書く・味わう (岩波ジュニア新書) 新書 – 2015/7/23

読むことを楽しむにはどんな方法があるの? 魅力的な文章を書くにはどうしたらいいんだろう? その両面から文学の面白さ、深さを構造的に探っていく。太宰治をはじめ多様な文学作品をテキストに読むコツ、書くコツ、味わうコツを独特の視点で指南する。渋谷教育学園渋谷中学・高校での「文学講義」をまとめた一冊。

僕はこの対比することを音楽から学びその他でも活かし始めたのだが、この新書にはそのまま文学に落とし込んだ形で書かれている。岩波ジュニア新書という学生に向けて出版されている書籍だが、今から本を読んでみたいという大人や漠然と文学に触れている方にも新しい発見があるかもしれないおすすめのシリーズ。人と向き合い、背景を想像することを生業としている方々にもいいのではなかろうか。


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