漫筆 < 痴的好キ心 < 店主について

ふらりと寄った新刊書店で「おい、春画コレクションばかり眺めてないで改めて俺を読み直してみろ。このへっぽこ店主が」と本棚のすまっこで少し拗ねてた彼からかまって欲しいアピールがあったので連れて帰ってくる。どれだけぶりかは記憶にないが以前に読んだ時は「へー」の連続で、「深すぎてわからん」「これ無理矢理じゃね?」「田辺聖子ってお前のかあちゃんそっくりやな」「俺吉行淳之介になる」と、当時のわずかな読書仲間と頭の悪さを自慢し合っていた。あれから本を読んだり読まなかったり、文章を書いたり消したり、パンツを脱いだり履いたりしながらどれだけもの時が経ったか。あろうことか店を構え、偉そうにふんぞり返っては講釈を垂れているおじさんが、今みんなにバレないようにこっそりと読み直してみたが、やはりというべきか、相変わらず「へー」の連続であった。白髪が増え、やたらと足が攣るようになり、頬のたるみも気になるなど身体の変化は痛いほど感じるが、頭の悪さは気持ちいいほど変わっていないのである。


高校生のための文章読本

良い文章とは、(1)自分にしか書けないことを、(2)だれが読んでもわかるように書く、という二つの条件を満たしたもののことだ―文章表現の多様さに触れ、書き手の個性が遺憾なく発揮された文章を読み味わうことは、自分なりの言語表現を形づくるための最良の道筋になる。夏目漱石や村上春樹、プルースト、ボルヘスなど古今東西の名手による作品70篇を選りすぐり、短文読み切り形式で収録。国語教科書のサブテキストとして一世を風靡した不朽のアンソロジー。

他にも読みごたえのある文章読本は多数存在するが、これは4人からの編集のためひとりの視点で書かれたものよりはクセも少ない。また途中に挟まれている「手帖」や「付録」は実用的な内容であるため、言葉を用いた自己表現を考えている人には特に薦めたい。文章読本とはどう読むかを指南しているものであるが、これは書く(伝える)と読むがイコールであることが上手くまとめられている、大人も読んだ方がいい構成である。

言葉、文章の解釈は人それぞれであってどう読んで感じてもいい訳だが、新しい解釈を知ることで読みの幅が広がるのは理想である。一方的な考え方ではなく、多方面から物事を考えることが出来れば周囲と揉めることも少なくなる。そのためにもいろんな読み方があることを伝えたい。と、久しぶりに垂れてみる。

うちには在庫がないため情けないがこちらでどうぞ。


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