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晴れ時々某月某日

祖父が亡くなった。100歳と5ヶ月という長い年月を生き、祖母の命日に旅立った。

大正生まれの祖父は戦中を経験しているからか、若い頃からとにかく働き者だった。いつも田んぼや畑にでかけずっと手を動かしている作業着姿ばかりが思い出され、春の大型連休に親戚中が集まり一斉で行う苗だし作業は恒例行事となった。90歳近くになってもまだ田んぼ仕事に精を出していたことを思うと、僕もまだまだと思えてくる。

通夜、葬儀に参列するため久しぶりに親戚一同が集まる場所に顔を出した。親不孝、親戚不幸の代表みたいになっている僕を叔父叔母たちはあたたかく迎え入れてくれ、従兄弟たちは僕の今の過ごし方を面白がってくれた。親戚付き合いからしばらく離れていたが、居心地の悪さは感じなかった。

両親と一夜を過ごすのも久しぶりだった。腕や足が細くなったことに離れて暮らしている年月を感じた。母親を中心に一同で祖父母の話題に花を咲かせていた。そのすぐ近くで「このテレビ、野球ちゃ映らんがか。ぼろいのー」と父親がつぶやいていた。その言葉を聞いてひと安心した。娘や息子に曽祖父が亡くなったことをメッセージで伝えると「教えてくれてありがとう」と返ってきた。

90歳を越え思うように動けなくなって以降荒れた時間も過ごしたそうだが、老衰という形で去った祖父の顔は穏やかだった。生きていくことに厳しいところはあったかもしれないが、家族を守ってきたその姿は優しさの裏返しだと思う。

祖父母にお小遣いをもらったからとシュークリームを差し入れてくれる小学生がいる。厳しい両親の元で生活しているその彼にとって、困ったときの祖父母の存在はとても頼もしく、優しい。その差し入れと引き換えに僕はリクエストの炭酸飲料を用意して、彼と二人でおやつの時間をゆっくりと過ごす。


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